ソフトウェアの販売、マーケティング方法は、近年'shelfware' - パッケージを店頭に置く - 方式から'TBYB' (Try-Before-You-Buy)方式への流れに比重が置かれるようになりました。特に米国では、ソフトウェア専門の全国規模の量販店がなくなり、コンピュータ関連量販店の店面積の半分程も占有していたソフトウェア パッケージのコーナも次第に占有面積が小さくなっています。コンピュータの普及と共に、多くのソフトウェアが製品化される今日では、欲しい機能を提供するソフトウェアを探すのは容易でも、本当に要求する機能や操作性とさらに、現在利用している環境(OSや共存するソフトウェア)との相性から選択することが求められるようになりました。こうした要求に最適なソフトウェアの販売、マーケティング方式が、シェアウェアという分野で盛んになったESD(Electric Software Distribution)によるTBYB方式です。この方式の普及は、すでに日本以外の国ではメジャーなベンダから小さなベンダまで盛んに取り入れてユーザにも普及していますが、残念ながら日本国内では、そのシステムの標準化がされていないためかまだまだ浸透していないように思われます。原因については、形のないものにお金を支払うことへの抵抗感や形ないものを資産として管理できないなどの日本社会の文化的特質もありますが、現実問題として、ソフトウェアの配布や決算方式がシステムとして標準化していないことが考えられます。
もう一つの要因としは、流通しているソフトウェアの数や種類の少なさがあります。日本国内で流通しているソフトウェアの数は、海外と比べて圧倒的に少ないのが現実です。ソフトウェア数が少ないため、未だにユーザは新製品に関する情報を量販店で知り、購入する習慣が残っています。したがって販売方式も店頭での販売が主流であるために本来利益が享受されるべき開発元が十分な利益を得られないために新製品の開発ができなくなるという悪循環に陥ってしまいます。ここ数年の間に日本は、ブロードバンドが普及し、世界のトップレベルのインターネットのインフラが実装されてるにも関らず、ソフトウェアの流通数、ESDでの販売という面では未だに遅れていると考えています。知らない間にユーザは少ないソフトウェアから自分に合ったソフトウェアを選択せざる終えないのが現状です。
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