VCSD 9.0 でボイスモーファ―の使い方

ボイスモーファ―とは、Voice Changer Software Diamond 9.0 の左側のパネルに含まれている、音声の編集やモーフィングの設定の数々のことを指します。声の特性、[声を整える]機能、詳細、効果が含まれます。このパネルの設定をいくつか組合せることで、特長のある出力音声を作り出すことができます。

1. ニックボイス: ボイスモーファーのプリセット ファイル

ニックボイス(インターネット用語の「ニックネーム」が元)は、サイバー空間で模倣しようとする人物の声のプリセットのことです。技術的には、ボイスモーファー内で変更された設定の結果との組み合わせになっています。
・すぐに使えるニックボイス: [ニックボイス]メニューを確認し、60以上用意されている素晴らしい「ニックボイス」とよばれる音声プリセットをお試しください。ワンクリックでファイルを即座に適用でき、様々な声質、性別までも変更することができます。

カスタマイズされたニックボイス: ニックボイス プリセットでは満足できない場合は出力全体または個別に修正し(詳細はセクション2-4を参照)、自分好みのオリジナルな音質を作り出すことができます。

- [保存]をクリックすると、新たに作成したニックボイスを後で使用できるよう *.nvcファイルとして保存します。
- [読み込み]をクリックすると、既に保存されているニックボイス(*.nvc)ファイルを読み込みます。
- [リセット]をクリックすると、ボイスモーファーのデフォルト設定に戻ります。

2. ピッチ、音色、フォルマント ピッチ: 基本的な声の特性

ピッチ/音色//フォルマントの調整のコンビネーションに制限はなく、どんな声(出力)でも作り出せます。

・ピッチ(デフォルトでは100%): 声のストリーミング速度を変更することなく、入力された声の「振動の速さ」を電子的に変更することによって、他のプロパティに影響することなく声のピッチの高さを変更できます。
- ピッチの値が低い場合、出力される声は、低くなります (例: 男性の太くて低い声)。
- ピッチの値が高いほど、声も高くなります (例: 赤ちゃん、少女、女性等)。

・音色(デフォルトでは100%): 音色つまり、声の色は、声の特定に重要で、他の声と区別するのに役立ちます。同じピッチ(音量)であっても、音色が異なれば別の声になります。
- 音色の値が低いほど出力される声は、強く深みのある声になります (例: 年配の男性)
- 音色の値が高いほど、柔らかい声 (例: 子供) になります

・フォルマント ピッチ(デフォルトでは100%): このツールは、元の声の出力品質に近い自然な状態に戻す「修正」ツールと考えることができます。他の品質に影響を与えることなく、声のピッチだけを変更できます。

3.声を整える: 元の声質を維持

声を整える (またはボイス イコライザー) 機能には、詳細な設定ができるスライダーが 4つあります。
・HiS - High Stretch (デフォルト値: 1%)
・LoS - Low Stretch (デフォルト値: 1%)
・Ls - Low Shift (デフォルト値: 0Hz)
・Sm - Smooth (デフォルト値: 12)

各値は、周波数域内の声質を表しています。周波数域を調整することは、 声帯の組織を上手に操っているようなもので、 ささやき、裏声(フォルセット歌唱)に加え、荒い声、声の出ない状態、息交じりの声、しわがれ声、 ハスキー声等を作り出せます。
- 注意:LoS と Ls スライダーの値を高く設定しすぎた場合、それに応じて、声も高すぎたり(女性、少年)、低すぎたり(男性)することがあります。
- これらの設定は、発音にも影響することがあり、場合によっては出力音声にアクセント(なまり)を感じることがあるかもしれません。

「整形」プリセットは、2つのグループから成っています:

・声の種類:1つ以上の効果プラグインを組み合わせたプリセットです。
- 声の種類の成分効果は、[効果設定]から確認できます。
・音声品質:様々なバンドのフィルタリングによって作られているイコライザー用のプリセットもカスタマイズ可能です。
- [効果設定]では、用意されている他のイコライザー プリセットを見つけることができます。
- カスタマイズしたプリセットを *.eq ファイルとして保存し、後で使用する場合に読み込むことができます。

4.詳細: 出力品質を上げる

・母音エンハンサー:

* 4つのフォルマント (デフォルト値は 55%-100%): それぞれ、「声道での共鳴」に対応します。母音の音を合成するには、3または4つのフォルマントを使用することが多いですが、最初の2つは母音の品質を決めるのに重要なので「母音フォルマント」と呼ばれることがあります。
- 値が低いほど、フォルマントは低くなり、変換される音声も低くなります。
- 逆に、甲高い声にするには、フォルマントの値を高くします。

* スムージング(デフォルト値は 7):ソフトな信号を作るためにどのノイズを処理するかに関して、スムージング幅を設定します。
- スムージングの値が高いほどスムージング アルゴリズムはより広範囲に作用し、信号の歪み(ディスト―ション)の可能性が高まります。

・微調整 (デフォルト値は 65%): 音色を調整する特別なコントロールです。背景の音楽を変換せずに、オーディオCDやMP3ファイルの曲のボーカルのみをボイスチェンジする際に効果的です。

- 値が低いほど、ボイスチェンジを行った音声はオリジナルに近くなります。

・サウンド品質:

* リミッター: 一定でない特性を持つ声のサンプルに対して複雑な変更を多数行ない、適用する場合に発生する可能性のある声の歪みや途切れを防ぎます。これにより、出力が安定します。

- リリース (デフォルト値は 200ミリ秒): 弱めた音量の維持時間を調節します。
- リリースの値が低いと、ゴロゴロした音が入ることがあります。一方、高い値では、勢いがなく弱々しくなる傾向があります。
- アタック (デフォルト値: 50ミリ秒): 許容可能なしきい値を超えた場合、効果の適用スピードをボリューム増大値として定義します。
- 値が低いと不自然な声が生成されることがあるかもしれません。アタックの値が高いと声が省略/途切れることがあるかもしれません。

* ノイズ軽減: バックグラウンドのノイズは削除しつつも、重要な信号はしっかりと残します。

- 軽減(デフォルト値は 200): 削除するノイズの量を設定します。
- 軽減の値が高い場合、多くのノイズを除去できますが、主信号に影響することがありますので注意してください。
- しきい値(デフォルト値は 2.0): ノイズとして扱う基準のしきい値を定義します。